育毛剤と発毛剤、どちらを選ぶべきか迷った時、その製品に含まれている「成分」に注目することが、適切な選択をするための重要な手がかりとなります。それぞれの目的が異なるため、配合されている主要な成分にも違いが見られます。育毛剤に一般的に含まれる成分としては、まず「血行促進成分」があります。センブリエキスやビタミンE誘導体などが代表的で、頭皮の血行を良くすることで、毛根に必要な栄養素を届けやすくします。次に、「抗炎症成分」としてグリチルリチン酸ジカリウムなどが配合され、頭皮の炎症を抑え、フケやかゆみを防ぎます。また、「保湿成分」であるヒアルロン酸やセラミドなどが、頭皮の乾燥を防ぎ、健やかな状態を保ちます。これらの成分は、頭皮環境を整え、今ある髪を健康に育てることをサポートする役割を担います。一方、発毛剤の代表的な有効成分としては、「ミノキシジル」が挙げられます。ミノキシジルは、元々高血圧の治療薬として開発されましたが、その副作用として発毛効果が見られたことから、AGA（男性型脱毛症）治療薬として転用されました。血管を拡張して血流を改善する作用や、毛母細胞を活性化させる作用などにより、発毛を促進すると考えられています。ミノキシジルを配合した発毛剤は、その濃度によって第1類医薬品に分類され、薬剤師からの情報提供を受けた上での購入が必要となります。製品を選ぶ際には、まず自分の髪の悩みが「予防・育毛」なのか「発毛」なのかを明確にし、それぞれの目的に合った有効成分が配合されているかを確認することが大切です。また、アレルギー体質の方や敏感肌の方は、配合されている添加物などにも注意し、できるだけ刺激の少ない製品を選ぶようにしましょう。不安な場合は、医師や薬剤師に相談し、専門的なアドバイスを受けることをお勧めします。